「LibreOfficeはMicrosoft Officeと何が違うのか」「自社にはどちらが合っているのか」——オフィスソフトの選択は、業務効率とコストに直結する重要な判断です。
本記事では、LibreOfficeとMicrosoft Office(Microsoft 365)を価格・機能・互換性・クラウド連携・サポート体制の観点から具体的に比較します。
用途別のおすすめ判断ガイドも掲載していますので、自社の状況に照らし合わせながらお読みください。
比較の前に:それぞれの基本情報を整理する
LibreOfficeとは
LibreOfficeは、The Document Foundation(ドキュメント財団)が開発・管理するオープンソースのオフィスソフトウェアです。
2010年に、それ以前のOpenOffice.orgから分岐して誕生しました。
ライセンス費用は無料で、Windows・macOS・Linuxに対応しています。
全世界で2億5000万人以上に利用されており(The Document Foundation公表値)、ヨーロッパの行政機関や国内自治体・教育機関での採用実績があります。
アイティワード株式会社は、英国Collabora Productivity社の日本正規代理店です。
Collabora Productivity社は世界最大規模のLibreOffice認定エンジニアチームを擁しており、企業向け長期サポート版(LTS)やクラウドオフィス「Collabora Online」を提供しています。
この提携により、日本企業が安心してLibreOfficeを導入・運用できる体制を整えています。
Microsoft Office(Microsoft 365)とは
Microsoft OfficeはMicrosoft社が開発・販売する有償オフィスソフトウェアです。
現在の主流は月額・年額サブスクリプション型の「Microsoft 365」で、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなどを含むスイート製品です。
クラウドストレージ「OneDrive」との連携、リアルタイムの共同編集、AIアシスタント「Copilot」(上位プランのみ)など、クラウドベースの機能が充実しています。
Windows・macOSに対応していますが、Linuxには公式対応していません(一部機能のWebアプリ経由での利用は可能)。
機能比較表:LibreOffice vs Microsoft Office
| 比較項目 | LibreOffice | Microsoft Office(Microsoft 365) |
|---|---|---|
| 価格 | 無料(オープンソース) | 有償(月額課金。Business Standardは1ユーザー月額1,874円が目安) |
| 文書作成 | Writer | Word |
| 表計算 | Calc | Excel |
| プレゼンテーション | Impress | PowerPoint |
| データベース | Base | Access(一部プランのみ) |
| 図形描画 | Draw(標準搭載) | Visio(別製品・有償) |
| 対応ファイル形式 | ODF形式(標準)+OOXML(.docx/.xlsx/.pptx)対応 | OOXML形式(.docx/.xlsx/.pptx)標準 |
| クラウド連携 | Collabora Online(クラウド版。別途環境構築が必要) | OneDrive / SharePoint(標準搭載) |
| 共同編集 | Collabora Online利用時は可能 | 標準搭載(リアルタイム) |
| マクロ | LibreOffice Basic(VBA互換モードあり)/ Python | VBA(Visual Basic for Applications) |
| AI機能 | なし(外部アドインで部分的に対応可能) | Copilot(Business Premium等の上位プランに搭載) |
| 対応OS | Windows / macOS / Linux | Windows / macOS(Linuxは非公式) |
| 企業向けサポート | Collabora Productivity社経由(日本:アイティワード) | Microsoft(または販売パートナー) |
| ライセンス形態 | LGPLv3 / MPLv2(オープンソース) | 商用ライセンス(サブスクリプション) |
※比較項目は代表的なものであり、最新情報は各公式サイトでご確認ください。価格は2026年4月時点の参考値です。最新価格はMicrosoft公式サイトでご確認ください。
互換性の実態
LibreOfficeへの移行を検討する上で最も気になるのが「既存のOfficeファイルがそのまま使えるか」という互換性の問題です。
ほぼ問題なく使えるケース
- 標準的な書式のWord文書・Excelシート・PowerPointスライド
- 基本的な関数(SUM・IF・VLOOKUP等)を使ったExcel表
- 取引先から届いた.docx/.xlsx/.pptxファイルの閲覧・編集
- シンプルな構成のプレゼンテーション
注意が必要なケース
- VBAマクロ — VBA互換モードはありますが、複雑なマクロは修正が必要なケースがあります。簡単なマクロは動作するものが多いです。
- 高度な書式・レイアウト — 複雑なワードアートや図の配置、SmartArt等は表示が変わることがあります。
- Officeアドイン — Microsoft Office専用のアドインはLibreOfficeでは使用できません。
- フォント — 異なるフォントを使用している場合、レイアウトが崩れることがあります。使用フォントをLibreOfficeにもインストールすることで対処できます。
互換性の課題は「致命的な問題」ではなく「対処可能な課題」です。
事前調査と計画によって、大半のケースは解決策を用意できます。
詳しい移行手順については「LibreOffice導入ガイド:企業がMicrosoft Officeから移行するための完全マニュアル」をご覧ください。
コスト比較:5年間で見るとどのくらい差が出るか
オフィスソフトの費用を1年単位ではなく5年間の累計で比較すると、差がより明確になります。
Microsoft 365 Business Standardを1ユーザーあたり月額1,874円(税抜)として試算します(最新価格はMicrosoft公式サイトでご確認ください)。
| 規模 | Microsoft 365(年額・参考) | LibreOfficeライセンス費用 | 5年間累計の差(参考) |
|---|---|---|---|
| 10名 | 約22万円/年 | 0円 | 約112万円 |
| 50名 | 約112万円/年 | 0円 | 約562万円 |
| 200名 | 約450万円/年 | 0円 | 約2,250万円 |
※上記は参考試算です。実際のコスト削減額を保証するものではありません。移行・研修・サポートの費用も含めたTCO(総所有コスト)での比較が重要です。詳細は「LibreOffice導入で年間コストをどのくらい削減できるか?シミュレーション付き」をご覧ください。
LibreOfficeはライセンスが無料ですが、導入・研修・サポートには一定のコストがかかります。
適切なサポートパートナーを選ぶことで、TCOを最小化しながら移行リスクを抑えることができます。
用途別おすすめ判断ガイド
どちらを選ぶかは、自社の業務内容・IT環境・予算によって異なります。
以下の判断ガイドを参考にしてください。
| 状況・条件 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| コスト削減を最優先したい | LibreOffice | ライセンス費用ゼロ。専門サポートを活用すれば移行リスクも最小化できる |
| 文書作成・表計算が中心で、VBAマクロをほとんど使わない | LibreOffice | 標準的な業務であればLibreOfficeで十分対応できる |
| Linux環境で使いたい | LibreOffice | Microsoft OfficeはLinux非対応。LibreOfficeは標準対応 |
| Microsoft Teamsを中心にコラボレーションしている | Microsoft 365 | Teams・SharePoint・OneDriveとの連携が深く、切り離すコストが高い |
| AI機能(Copilot)を積極的に活用したい | Microsoft 365 | CopilotはMicrosoft 365の上位プランに統合されており、LibreOfficeには相当する機能がない |
| 複雑なVBAマクロを多用している | 移行前に検証が必要 | マクロの複雑さによっては修正コストが高くなる可能性がある。専門家による事前調査を推奨 |
| 取引先・社外とのリアルタイム共同編集が必要 | Microsoft 365 | OneDrive/SharePointを使ったリアルタイム共同編集はMicrosoft 365が優位。LibreOfficeはCollabora Onlineで対応可能だが別途環境構築が必要 |
| 段階的な移行でコストとリスクを両立したい | LibreOffice(段階移行) | 低リスク部門からLibreOfficeを展開しつつ、高リスク部門は計画的に対応する方法が有効 |
上記はあくまで判断の参考です。
自社の具体的な状況に基づいた判断には、現状の利用実態調査が欠かせません。
「LibreOfficeを選んだが不安」という方へ
LibreOfficeに興味があっても「いざ導入したときにトラブルが起きたら」「社員が使いこなせるか」という不安は自然な感情です。
こうした不安を解消するために、専門サポートの活用が有効です。
「自社にはどちらが合うのか」という判断に迷われた場合は、現状のOffice利用状況の調査からお手伝いいたします。
お気軽にご相談ください。
詳しいサービス内容はLibreOfficeサポートサービスページをご覧ください。
まとめ
LibreOfficeとMicrosoft Officeの主な違いをまとめると以下のとおりです。
- 価格 — LibreOfficeは無料。Microsoft 365は月額課金制
- 基本機能 — 文書作成・表計算・プレゼンテーションの日常業務はLibreOfficeで十分対応できる
- クラウド連携 — Microsoft 365はOneDrive/Teams連携が優位。LibreOfficeはCollabora Onlineで対応可能
- マクロ互換性 — VBAはLibreOffice Basicで対応可能だが、複雑な実装は修正が必要
- 対応OS — LibreOfficeはLinuxにも対応
コスト削減を重視する企業にとって、LibreOfficeは有力な選択肢です。
一方、Microsoft 365との深い連携を活用している場合は、移行コストと便益を慎重に比較する必要があります。
どちらを選ぶかに迷っている場合は、専門家への相談が最も確実な判断材料を得る方法です。